この部屋にはわたしだけが取り残されている
あの子の温もりは記憶の中だけ
外へ探しに行っても
まだ近くにいると思っていたけど姿を見せてはくれなかった
これで最後なら
深夜の姿が最期
ーどうして出て行ってすぐに追いかけなかったんだろう
ーどうして帰ってくるだろうなんて軽い気持ちでいたのだろう
ーどうしていつもわたしは最期後悔をする選択をするんだろう
外は寒いのに
あの子はどこにもいない
ずっと呼び名を呼んでも何の反応もなく
餌で皿の音を鳴らしても何も返答がない
いつもならすぐ餌よこせって鳴きわめいて寄ってくるあの子がいない
部屋に戻っても
暖かい部屋に残されたのは寂しさのみ
記憶の中に残された、今頃鳴いてるあの子の姿が目に浮かぶ
わたしはどこかでずっと
革命を欲しがってた
あの子をうちでは引き取れないって分かっていてやったこと
現実を甘えて見ていたから
わたしは命の尊さの本当の意味など分かっていない
あの子の気持ちになれなかった
ただいいお人好しにすぎなかった
その感情に自惚れて心地良くいたかった
あの子はそのわたしの気持ちにこの数ヶ月の間応えてくれていた
だけど互いにもう我慢の限界だったんだ
わたしもあの子もお互いの気持ちになんとなく気付いていた
わたしがあの子に提供できたものは目に見えるものばかりで、目に見えない愛情の与え方は忙し過ぎて最後は忘れていた
だから外に愛を求めて帰って行ってしまったのかな
いなくなってからの
不甲斐無さ
無念
寂しさ
後悔と未練
最後に残るのはあの子の温もり
優しさ
無償の愛
わたしをいい人間にさせてくれた時間
本当にいなくなったって実感すると辛いよ
今更過ぎるけど嫌だよ
そして申し訳ない
だけど、お互いにどこかで分かっていたんだ
このままをずっと過ごしてはいけない、と。
現実は許してくれないって
わたしは君がいなくなって儚い夢から目覚めた様
目が潤んだ
刹那いのに、
前の生活に戻れて安堵してる自分がいる
こんな思考のことを最低でひとでなしって言うんだろうな、と思いながらも
抱く現実の実感は安心感だった
君が選んだ道は正しかったと思う
わたしは最初から間違いだったけど君を救うことで自分が救われていた
君といることでわたしは甘えていくダメ人間になっていってる気がする
それに気付いた君の覚悟と度胸故の行動だったと思うとー幸せとは言い難い結末だけど君らしいよ
かなり長く一緒にいたから君の温もりと優しさを知ってしまって上手く手放せなくなっていた
そんないつまでも自分主体なわたしに、
残酷な世の中の理を教えてくれた
君はもういないけど、記憶の中で一緒に抱き合って寝ている姿を思い浮かべることで
まだ夢から覚めなくていいんだと思いたい
現実が怖い弱虫なわたしを数ヶ月の間も守ってくれてありがとう
また何処かで君と会えると信じてるから、賢く強く生きてほしい
恋しくなったら君に会いに夢に潜るよ
現実の日常を愛おしいと感じさせてくれてありがとう
またどこかで会おうね