シャボン玉のような朝
少しづつ鮮明に色が付いて輝く朝日
お母さんが作る目玉焼きの焼く香りと
「起きて食べなさい」のお母さんの声
これは7歳の頃のわたしの記憶
わたしの幸せだなと思えた過去の一部分
この絶妙にまともな調和した空間の世界が好きだった
まともな家庭に思えると錯覚できる朝
わたしの幻想のような不思議な感覚の朝で大体、土曜日の朝のことだ
土曜日はお母さんもお父さんも日曜日まで休みで余裕があったから喧嘩することも無くてバチバチな感じもなくわたしに当たることも少なく平穏だった
だから土曜日のこの朝は好きだった
わたしの理想の家庭像のまともな感じがしたから
他の子の家庭はこれが普通だったのに
わたしの家庭はかなり普通とか、まともとか言えるものではなかったけど
できるだけ希望を抱きたくて理想を描いてた
ひとりでいても理想を膨らませ想像するのは唯一の過酷な世界からの現実逃避ができた
それにふけることがで水族館の中で泳ぐ魚の様でわたしは自由だった
ハイジのような…
赤毛のアンのような……
思い出のマーニーのような………
当時も今も親からはまともな愛情は求めてもくれることはあまりなかったが
それでもたまにあるこんな些細な日常が
わたしを支えてくれて幸せを噛み締めていた
それを今、大人になって思い出すと
幸せなのか悲しいのか寂しいのか
分からないけど感情が溢れ出て
涙がこぼれる
あの朝をまた感じたいよ
現実的に幸せだったと思えたあの感覚を